第24回 繊維にどうやって色を付けるの?
繊維製品は、糸作りに始まり、織り・編み・裁断・縫製・仕上を経て生み出されるわけですが、このうち糸を作る工程については第22回、編み加工は第3回と第4回、そして織り加工は第18回と第19回でそれぞれ紹介しました。
今回からは、生地を生み出す工程についてご紹介していきたいと思います。まず最初に、繊維に色を付ける加工である染色についてお話しさせていただきます。
色にはどんな種類と効果があるのか
まず色には、シアン・マゼンタ・黄色の三原色があります(光の三原色もあり、こちらは赤・緑・青となっています)。
これらをそのまま、あるいはそれぞれの比率を変えて使うことにで、無限のバリエーションを作り出せます。
明るさや鮮やかさはもとより、微妙な温度差なども表現されることで、我々にさまざまな視覚的・心理的効果をもたらします。
色があるからこそ、無地はもちろん、さまざまな模様や柄を作り出すこともできます。
色の使い方1つで製品の売れ行きが大きく左右されるばかりでなく、色落ちや色ムラなどでしばしば苦情やクレームが発生することもあるため、色がいかに重要な要素であるかは論を待ちません。
染色にはどんな加工方法があるのか
話を戻しまして、染色とは、文字通り染めることで繊維に色を付ける加工のことです。
ひとくちに染色と言いましても、繊維の加工段階によっていろいろと分かれます。また染色する対象も、天然繊維から合成繊維まで多岐にわたります。当然のことながら、素材によって成分が異なるため、それぞれの素材に応じて染料も使い分けられます。
染料につきましては後に委ねることとしまして、ここでは染色加工の分類をご紹介致します。
- 先染め
繊維から糸の段階で色を染める方法で、繊維の段階で染色する「ばら毛染め(わた染め)」、繊維をおもちゃの「こま」状に整えて染色する「トップ染め」、糸にした状態で染色する「糸染め」などがあります。
糸染めには、糸の巻き方(まとめ方)によって「チーズ染め」・「かせ染め」などに分けられます。 - 後染め
織り生地もしくは編み生地の状態で色を染める方法で、「反染め」・「無地染め」とも呼ばれます。通常は染料を含ませた液体に浸す「浸染(しんせん)」が一般的です。 - 製品染め
文字通り、繊維製品に加工された状態で色を染める方法です。 - 捺染(なっせん・なせん)
プリントとも呼ばれます。型を使って色の付いた糊を付着させる点で「浸染」と異なります。生地もしくは製品に対して加工される場合がほとんどです。
ちなみに、染色に似たような加工として、繊維由来の色素を取り除いて白くする加工を特に「漂白(晒し)」と呼びます。