今回は、繊維を糸にする工程である、「紡績」についてご紹介致します。

第20回でも少し触れましたが、紡績とは、繊維をできるだけ平行かつ互い違いに配置し、撚りをかけて糸にする工程です。

かつて紡績は全くの手作業で、国内外のおとぎ話や歌などに見られるように、糸車を手で回して糸にしていくことが当たり前のように行われていました。しかしこうして作られた手紡ぎの糸は、太さがまちまちできわめて限られた量しか作られませんでした。
19世紀の産業革命による紡績の機械化とその後の技術革新により、現在では細くて均質な糸が大量に作られるようになっています。

では、実際に紡績工程でどんなことが行われているのでしょうか。ここでは綿を例に挙げて説明していきたいと思います。

  1. 綿花から種皮などの夾雑物(きょうざつぶつ、いわゆるゴミ)が取り除かれ、輸送するために圧縮された原綿は、繊維の長さや色合いなどの品質検査が行われます。そして開俵(かいひょう)を行い、高温多湿の室内で寝かせます。そうすることで繊維をほぐしやすくします。
  2. 次に、いくつかの俵(ひょう)の原綿を合わせて、大きな針を使って綿を叩きほぐし、そこでさらに細かい夾雑物を取り除いて繊維をほぐします。この作業を経た原綿を「混打綿(こんだめん)」と呼びます。
  3. ほぐれた繊維を、さらに細かい針を使ってゴミや糸にならない綿毛などを取り除き、繊維を一定の方向に揃えます。これを「梳綿(りゅうめん)」と呼び、こうして作られる糸は「カード糸」と呼ばれます。
    さらに繊維の長さまで揃えたものは「精梳綿(せいりゅうめん)」と呼ばれ、こうして作られる糸は、櫛(くし)を通すという意味の「コーマ糸」と呼ばれ、カード糸よりも品質面で優れ、高価となっています。
  4. 繊維をひも状に束ねて繊維束(せんいそく)を作り、それらを重ねて細く引っ張っていくことで、さらに繊維を平行に揃えます。これを「練条(れんじょう)」と呼びます。
  5. 練条工程を経た繊維束をさらに細く引っ張り、持ち運びやすいように錘に巻き取ります。これを「粗紡(そぼう)」と呼び、この段階ともなるとかなり糸らしくなってきます。
  6. 錘に巻き取った粗紡糸をさらに細く引っ張り、繊維に撚りをかけていきます。これを「精紡(せいぼう)」と呼びます。
    この工程で撚りの回数を多くしたものは強撚糸と呼ばれ、繊維の長さが短いものに多く見られます。風合いが硬くてごわごわする性質があるため、主として布帛用の糸に使われます。
    一方、撚りを少なくしたものは甘撚糸と呼ばれ、比較的繊維の長いものに多く見られます。柔軟な風合いが特徴で、主としてニット用の糸に使われます。
    従来は粗紡糸が端に来た場合に別の粗紡糸の端を結んでいましたが、糸フシなどの生地の欠点や、織機・編機を傷める原因になることから、現在ではこれを克服する空気精紡方式が主流になっています。
  7. 最後に、微細な繊維クズやホコリ・チリなどが入り込まないよう、細心の注意を払いながら仕上げていきます。

仕上げられた糸は、手綱状にまとめられたり、木管もしくは紙管に、円筒状または円錐状に巻き取られたりして出来上がります。これらはそれぞれ、「綛(かせ)巻」・「チーズ巻」・「コーン巻」と呼ばれます(おいしそうに聞こえますがもちろん食べ物ではありません!)。ちなみに「コーン」は「コニカルチーズ」を略したものです。

この後用途に応じてさまざまな加工が施されていきますが、これにつきましては、次回お話しさせていただきます。

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