第11回・人工的に作られる繊維ってどんなものがあるの?

第11回 人工的に作られる繊維ってどんなものがあるの?

前回までは、動物の毛や植物の繊維などといった天然素材についてお話ししてまいりましたが、今回からは、我々人類が生み出した繊維素材について、数回に分けてお話ししていきたいと思います。

人工的に作られる繊維の歩み

第5回の繰り返しになりますが、繊維の歴史は産業革命の興った19世紀に大きな節目を迎えました。
植物素材などを原料に、化学的な方法を用いて繊維となる物質を抽出し、レーヨンが作り出されたのです。
これまで天然素材をそのまま使い続けてきた人類にとって、この発明は非常に画期的で、人類が繊維を作る術(すべ)を獲得した瞬間でもありました。
やがてレーヨン以上に化学的な方法で繊維を作り出す技術も生み出され、20世紀に入った1936年には、鉱物資源だけを用いてナイロンが作られました。
このような科学技術の進歩によって、今日さまざまな素材が作り出されており、それらを総称して「化学繊維」「人造繊維」などと呼ばれています。

人工的に作られる繊維の種類

これらは、原材料や製造方法によって大きく次の3つに分けられます。

  1. 再生繊維
    木材やパルプ、綿花の種子に付着しているごく短い毛(リンター)などの動植物を原材料に、化学的な方法で繊維となる物質を抽出して作られます。代表例としてレーヨンなどがあります。
  2. 半合成繊維
    再生繊維と同様に動植物由来の原材料を用いますが、再生繊維よりもさらに化学的な方法で作られます。代表例としてアセテートがあります。
  3. 合成繊維
    動植物を原材料として使用せず、鉱物資源だけで化学的に作られる繊維です。代表格は、「ナイロン」「ポリエステル」「アクリル」などです。鉱物資源を使って作られるため、天然素材のように原材料の収穫高に左右されず、安定して作り出せるのが特徴です。
    合成繊維は一般的に、吸水性に乏しい、生分解されにくいなどの性質がありますが、最近は筒状で断面に無数の細かい孔を開けたり、断面の形を工夫したりして、繊維自体に吸水性や生分解性などの機能が施された繊維も出てきています。

このように、我々人類が創り出す化学繊維は、科学技術の進歩と共に、さらなる可能性を求めて日夜改良が施されているのです。

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