前回は、衣類の設計図とも言われるパターンについてお話ししてまいりましたが、そのパターンを含めて、今や衣類の生産においてCAD・CAMと呼ばれるシステムが欠かせない存在になっています。
そこで今回は、CAD並びにCAMと呼ばれる自動生産システムについてお話ししていきたいと思います。

前回お話ししました通り、パターン作成やグレーディングはパターン作成者(パタンナー)の技量が要求されるわけですが、近年の多品種小ロット生産が進むにつれて、パタンナーの要求される力量は増す一方です。他方生産する側では、作業員の高齢化や後継者の減少が進みつつあり、その一方で情報化技術の進展も劇的に向上し続けています。こうした背景から、アパレルCAD・アパレルCAMと呼ばれるコンピュータシステムを利用した衣類の生産が主流になりつつあります。

アパレルCADとはComputer Aided Designの略で、CG(コンピュータ・グラフィックス)技術に基づいて成り立っています。CGの表示形式には、以下の2種類があります。

  1. ベクター型
    デザイン画を直線や曲線といった図形で表示する方式で、これによって作り出されるデータをストロークデータと呼びます。主にパーツごとの輪郭が要求されるパターンやマーカーなどを作成する際に用いられ、データを入力するにはデジタイザーと呼ばれる機器を使用します。
  2. ラスター型
    色の色彩や濃淡の異なる点(ドット)の集まりで表示する方式で、これによって作り出されるデータをイメージデータと呼びます。データ入力にはイメージスキャナーが用いられ、デジタイザーで入力するよりも簡単なため、現状こちらが主流になっています。但し、CADで使用する場合には前者のベクター型のデータに変換しなければなりません。

前回ご紹介しました通り、衣類を生産するためのプロダクトパターンは、使用する身生地や裏地・芯地など素材ごとに用意されなければなりません。また、生地の長さや幅はもちろん、素材の毛並みの向きなどといった特性も考慮しなければなりません。なおかつパーツの配置によって生地の利用率(効率)が変わってくるため、できるだけロスを出さないようにパーツを配置する必要があります。
これらを計算に入れて、最適に配置されたパーツのデータをマーカーと呼び、マーカーを縮尺して配置や必要な生地の長さ(要尺)を確認しやすくしたものをミニマーカーと呼びます。生産にあたっては、色やサイズといったバランスの問題もあるため、1回の裁断で断ち切られる各パーツの点数も計算に入れることで、必要な生地量の見積りもなされています。
こうしてCADによって作り出されたマーカーは、工場など生産現場でカットデータなどとして利用され、生産面での自動化・機械化が図られます。これらのシステムをアパレルCAM(Computer Aided Manufacturing)と呼びます。

CAMには、先に紹介したカットデータに基づいて機械で裁断する自動裁断システムが代表的ですが、縫製の分野でも、すでに刺繍などで実用化されています。CADが図形やイメージをベースとしているのに対して、CAMは直接生産に関わるため、数値によってコントロールされます。また平面を扱うので、数値コントロールするための装置の数も異なり、これを制御軸数と呼びます。
パターン作成において鉛筆などで線を描く場合には、タテとヨコの2つの制御軸数が必要です。一方パターンや生地をナイフで裁断する場合は、これにナイフの向きをコントロールしなければならず、3つの制御軸数を要します(但しレーザー光線で裁断する場合は制御軸数2つですみます)。縫製においても、本縫いの場合の制御軸数は2つですが、オーバーロックなどでは送り方向の向きをコントロールするために3つの制御軸数が必要です。
生産現場では、このようにCADシステムとCAMシステムとを連結・連携させることで、CADで作られた画像データは数値データに置き換えられ、CAMがそのデータに基づいて生産されます。IT技術の進歩などにより、今後自動生産システムの分野は、生産工程の管理や品種切替などの情報のやりとりも行われ、コンピュータ管理された生産システムを構築する可能性も秘めているのです。

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