今回は、主要な天然素材の中できわめて高級な素材とされる「絹」についてお話ししたいと思います。
絹(シルク)は「生糸(きいと)」とも「真綿(まわた)」とも呼ばれ、光沢のある美しい繊維が長く連続しているため、昔から高級素材として扱われています。
古くからヨーロッパと中国、そして日本との交流網が「シルクロード」と呼ばれる程、絹は贅沢品の代名詞とされています。

絹繊維を生み出すのはカイコガ(蚕)という蛾で、人工的に飼育(養蚕)される家蚕と、野生の野蚕があります。
カイコガの幼虫は主に桑の葉などを食し、蛹になるにあたって、外敵や衝撃などから身を守るためにを作ります。美しくしなやかな絹繊維は、その繭から採取されます。

絹の繊維は、繊維質となる2本のフィブロインと、フィブロインを包み込む糊状のセリシンという物質が主成分となっています。
フィブロインは、私たちが転んだりして出血した時、その傷口をふさぐ役目を果たす物質でもあります。羊毛と同様に各種アミノ酸が鎖状に連なり、いくつもの化学的な結合によって形成されています。
断面は細長い三角形状で、ところどころに縮みがあり透明なため、独特の光沢と滑らかな風合いが生み出されます。

絹繊維は弾力性があってしなやかで、吸湿性にも優れていますが、紫外線に非常に弱く、直射日光や高温多湿の環境では黄ばんだり染めムラが起こりやすくなります。また摩擦にも弱く、こするとすぐに毛羽立ってしまいます。このように、絹繊維は非常にデリケートな素材なので、洗濯機・手洗い問わず、水洗いに不向きな素材と言えます。
糸にする際には、繭を煮て糸がほぐれやすいように柔らかくしてから繊維の端を見出し、いくつかの繭から見つけ出した繊維を合わせて撚りをかけて糸にします。ポピュラーなものでは、おおよそ6~8本の繊維を合わせて作られます。

ところで絹繊維は、絹の繊維は繭1個分で800~1,200mと非常に長いため、天然素材では珍しく長繊維に分類されています(他に蜘蛛の糸などもありますが)。これに対して、綿や麻・羊毛などは繊維1本1本が短いため(麻でも長くて2m程度)、短繊維に分類されています。
そのため、太さを表す単位は一定の重さを基準とする「番手」ではなく、一定の長さを基準とする「デシテックス」が用いられます。なお少し前までは「デニール」でしたが、国際単位化により「デシテックス」に変更されています。

絹の歴史は古く、中国ではおよそ3000年ほど前から作られ始めたとも言われています。
日本でも明治時代の殖産興業政策により、群馬県の「富岡製糸場」(2014年に世界遺産に登録)などで量産されていた時期もありましたが、現在では絹も輸入に頼るようになり、養蚕農家も生産される生糸もかなり規模が縮小しています。
そのため国産の絹は流通量がきわめて少なく、それゆえ希少価値が高くなっているのです。

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