前回でも紹介しました通り、人類が初めて人工的に作った繊維は「レーヨン」でした。
レーヨンはその光沢が絹に似ていることから、「人絹(じんけん)」とも呼ばれています。天然・人工問わず多くの素材が存在する現在でも繊維の中では価格が安く、近年の地球環境問題ともあいまって、今後も需要のある繊維といえます。

レーヨンは、木材のパルプなどから繊維となる物質を抽出して作られる再生繊維の総称で、原材料は紙とほぼ同じと考えて良いと思われます。
主成分は綿などの植物系の繊維にも含まれる「セルロース」で、デンプンと同じくブドウ糖などの糖類が鎖状に連なってできる物質ですが、デンプンよりも分解されにくくなっています。
レーヨンはこの物質を化学的な方法で抽出し、繊維状にしたもので、「ビスコースレーヨン」「ポリノジック」「キュプラ」などがあります。

1.ビスコースレーヨン
ビスコースレーヨンは最も原始的・古典的な方法で作られるレーヨンです。
木材パルプをアルカリ性の液体に溶かし、その溶液に二硫化炭素を加え、さらに濃度の薄いアルカリ性の液体に溶かしてビスコースを作ります。そして特殊な液体の中にビスコースを射出して作られます。
ビスコースレーヨンは吸湿性が大きく、特に水にぬれると強度が大きく落ちる欠点があるため、これを克服するために開発されたのが、次の「ポリノジック」です。

2.ポリノジック
ビスコースレーヨンの欠点である、湿潤時の強度低下などを改善するために開発されたレーヨンです。
有機化学の話で恐縮ですが、重合の度合いを高めたり、化学物質の量や温度を調節したりして作られます。
重合とは、分子構造の小さな有機化合物(主として炭素と水素からなる物質)をつなぎ合わせて大きな分子構造の物質を作り出す変化のことで、人工的に作られる繊維の大半がこの方法で作られます。
当然ながらビスコースレーヨンよりも湿潤時の強度が強く、アルカリ性にも耐性があります。また他のレーヨンと同じく光沢も絹に似ています。

3.キュプラ
特に衣服の裏地やトリコット下着などに利用されており、商標でもある「ベンベルグ」でも通用する素材です。
「リンター」と呼ばれる綿花の種子に付着しているごく短い毛が主な原材料で、これを硫酸銅とアンモニアから作られる溶媒に溶かして、それを特殊な液体の中に射出して作られます。製造に硫酸銅とアンモニアが使用されることから、「銅アンモニアレーヨン」とも呼ばれます。
ビスコースレーヨンよりも弾性に富み、手触りが柔らかくシワになりにくい上、強さも優れています

最近はレーヨンの他に「テンセル」「リヨセル」「モダール」などの素材もひろく出回っていますが、いずれも登録商標がなされているため、家庭用品品質表示法上では「再生繊維」(2016年以前は「指定外繊維」)に分類されています。

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