我々は、古くから羊と密接に付き合ってきました。
原始時代の狩猟採集生活から文明が進化する段階から、羊は人類にとって欠かせない存在でした。
キリスト教の聖書でも、羊飼いや小羊など、羊に関する言葉が数多く出ています。
羊の毛をして単に「毛」と呼ぶのは、そうした慣習があってのことなのかも知れません。

羊毛を生み出す牧羊は、今でこそオーストラリアやニュージーランドなどでも数多く生産されていますが、19世紀には、いち早く産業革命が興ったイギリスで盛んに生産されていたため、今なお品種名や毛糸の太さを表す「番手」の算出など、イギリスの影響が色濃く残っています。

羊には約300種もの品種がありますが、毛の長さや太さによってかなりのバリエーションがあります。
その代表格が「メリノ種」で、細くて柔らかく、かつ毛が程よく縮れているため、衣服用に適しています。特に肩の部分や腹回りなどの部分が最も良質とされています。

羊毛は、19種類ものアミノ酸のほか硫黄分も含まれており、それらが化学的に結び付いて複雑に絡まり合う形となっているため、ほとんどタンパク質と考えていただいても差し支えありません。
断面は円形ないし楕円形で、表面にはスケールと呼ばれるうろこに覆われています。一方スケールの内側は、吸湿性に富むコルテックスと呼ばれる物質からなっています。またコルテックス自身も、アミノ酸の種類や配列により2種類に分かれているため、熱や水分によって収縮に差が出てきて独特の縮れが生まれます。
このため羊毛には、次のような特徴があります。
1)伸びに強く、シワになりにくい。
2)水滴を弾くが水蒸気を通す。
3)湿った状態で押し固めると、繊維が絡まり合って縮む(これを「フェルト化」と呼びます)。
4)虫害にあう可能性が高い(ナフタレンや樟脳、パラジクロルベンゼンなどの防虫剤と一緒に保管するのはそのためです)。

最近では、化学的な処理によりフェルト化を防ぐ防縮加工など、洗濯機でも洗える素材も出回っていますが、毛製品のメンテナンスは、ドライクリーニングが一般的です。

ニットリビアの庭 ホーム