第46回・工業用のミシンにはどんなものがあるの? その2

第46回 工業用のミシンにはどんなものがあるの? その2

前回は、工業用ミシンの種類の内、縫い目(ステッチ)のスタイルによる分類についてお話ししました。今回は、縫い工程によって作り出される継ぎ目(シーム)のスタイルによる分類についてお話ししたいと思います。

シームのスタイルとは何か

シームによる工業用ミシンの分類は、JIS L 0121という規格で定められています。
この規格では、縫い合わされる生地の枚数・針の位置・生地の重なり具合などの状態によって、作り出されるシームのスタイルを8つの「クラス」として分類しています。またシームが生じる生地の端を「特定縁」、それ以外の端を「非特定縁」と呼びます。

シームのスタイルとミシンの分類

それでは、それぞれのクラスについて順を追ってご紹介しましょう。

  1. クラス1
    複数の生地からなり、生地が2枚の場合、特定縁が片側に重なり合うスタイルです。イメージとしては、生地を2枚以上重ねて一方の端を縫い付ける形となります。
  2. クラス2
    複数の生地からなり、生地が2枚の場合、特定縁が互いに相反する形で重なり合うスタイルで、イメージとしては生地を互い違いに重ねた形で縫い合わされます。伏せ縫いなどはこれに分類されます。
  3. クラス3
    複数の生地からなり、生地が2枚の場合、1枚は特定縁が片側に、もう1枚は特定縁が両側にあるスタイルで、1枚の生地でもう1枚の生地の端を包み込むように縫い合わせる形となります。バインダーなどがこれにあたります。
  4. クラス4
    複数の生地からなり、生地が2枚の場合、特定縁が相反する状態ではあるものの、クラス2とは異なり、双方の生地を突き合わせた状態で縫い合わせるスタイルです。偏平縫いや、互いに折り返した生地同士を突き合わせて縫い合わせる「割りはぎ」はこれに分類されます。
  5. クラス5
    1枚以上の生地からなり、生地が1枚の場合は両側とも非特定縁、すなわち縫いによる継ぎ目が端にこないスタイルです。紐などをまたぐようにして縫い付ける「コーディング」や、紳士背広などで芯地をハの字状に縫い付ける「ハ刺し」などがこれにあたります。
  6. クラス6
    必ず1枚の生地からなり、特定縁が片側にあるスタイルです。主に生地の端を始末する「まつり縫い」などがこれにあたります。
  7. クラス7
    複数の生地からなり、特定縁が1枚だけ片側にあり、それ以外の生地が両側にあるスタイルです。
  8. クラス8
    1枚以上の生地からなり、すべての生地において特定縁が両側にあるスタイルです。刺繍などはこれにあたります。

このように、工業用ミシンは、シームという縫いによる継ぎ目によっても大まかに8つに分けられており、縫い目による分類と組み合わせるとかなりの種類にのぼることがおわかりいただけると思います。

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