前々回前回と繊維の染色についてお話ししてまいりましたが、今回は、生地が作られてから染色に至るまでの準備工程にスポットを当てていきたいと思います。
なお、ニット(編み生地)と布帛(織り生地)とでは工程が異なる場合がほとんどですので、ここではニットの準備工程を順番に説明してまいります。

糸からつくり出された生地は、キズなどの欠点がないかどうか検査(検反)がなされた後、加工する量に応じて生地を縫い継ぎ、その反末にロット番号・品番・生地名などを書き込みます。これを結反(けったん)と呼びます。この際、地の目曲がりや縫合のシワ、耳折れが生じないように、生地の両端を揃えて縫い合わせます。
次に、繊維や糸の内部にかかる余分な力やひずみを取り除くため、熱や機械によって生地をリラックスさせます。こうすることで、かさ高効果と伸縮性を向上させ、縮みにくくします。この後、繊維や糸に含まれるさまざまな不純物を洗い落とす精練工程に入ります。
糸や生地に機械の潤滑油や鉄さびなどが付着することは日常茶飯事です。また天然繊維の場合、繊維に蝋や樹脂・膠(にかわ)などといった脂肪分も含まれています。これらの不純物が繊維に付着したままだと、その部分が水分や染料などを吸収しなかったり弾かれたりして、汚れや色むらの原因にもなってしまうため、精練工程でこれらを洗い落とします。

精練は染色同様、素材によって使用する薬剤や方法が異なります。ここでは天然繊維を例に挙げてご紹介致します。

  • 綿はアルカリと界面活性剤を用いて高温で処理します。
  • 羊毛は摂氏50度の弱アルカリ液を用います。また酸を用いて不純物を炭にして除去することもあります。
  • 絹は弱アルカリの熱水を用いて、主にセリシンを除去します。

精練で不純物を取り除いた後は、繊維に残るわずかな色素を取り除きます。これを漂白と呼びます。主に過酸化水素(とりわけ綿に対して)や次亜塩素酸ナトリウム、亜塩素酸ナトリウムの水溶液が用いられますが、条件によっては繊維にダメージを与えかねないため、漂白後は薬剤を洗い落とします。なお漂白とは別に、さらに白く見せたり黄ばみを目立たなくしたりするために蛍光増白処理を行うこともあります(詳細は第26回参照)。
ちなみに特定の素材に対する加工として、綿に対するシルケット(またの名をマーセライズ第8回第23回参照)や羊毛の防縮加工などもあります。
綿のシルケット加工は、水酸化ナトリウムなどのアルカリ溶液に浸して繊維を膨らませることで絹に似た光沢を出す加工で、糸の段階で行うものと生地の段階で行うもの、両方とも行うもの(ダブルシルケット)があります。
羊毛の防縮加工(第7回参照)は、スケールと呼ばれるうろこをコーティング、あるいは取り除く方法でフェルト化を防ぐ加工です。

生地にはこれらの下ごしらえを行ってから、染色やプリント工程へと進めているのです。

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