前回から実際に衣類を作る作業の出発点として、生地の裁断工程についてご紹介していますが、今回は生地を切り分ける裁断工程についてお話しして参ります。

裁断工程は、文字通り生地を各部のパーツに切り分ける工程を指します。前回お話ししました延反工程を経て、それぞれのパーツごとに裁断していきます。衣類においては、主要部分の生地に加えて、裏地や芯地なども対象となります。
裁断にあたっては、それぞれのパーツの形状やサイズ・色はもとより、素材の特性や毛並などの方向性などにも注意する必要があります。また裁断する素材は無地に限らず、ボーダー柄やチェック、あるいはさまざまな模様の柄もあります。たとえばボーダーが傾いていたりチェックがゆがんでいたりしては不恰好きわまりないので、柄の方向や位置にも注意を要します。もちろん、裁断されるパーツに自体に汚れやキズ、色ムラなどがあっては使い物になりません。
そして大量生産する上で重要な要素が、裁断効率です。裁断工程では生地などをどれだけロスなく使うかが要求されます。ロスが多ければそれだけ余計に材料を使わなければならず、余分なコストがかかってしまいます。それを少しでも抑えるために、第38回で紹介したマーカー(ミニマーカー)を作成して配置を最適化する作業が行われます。なお、1つのマーカーに何枚分のパーツを配置するかは、生産する色・サイズごとの枚数バランスを考慮して配置されます。

裁断といえば裁ちばさみによる手裁ちを連想されるかと思われますが、一から手作りするならともかく、大量生産で手裁ちをしていてはまず間に合いません。そのため機械設備が必要となりますが、裁断設備にも用途に応じていろいろあります。代表的なものをいくつかご紹介します。

  • 丸刃裁断機
    もっとも原始的な裁断機で、文字通り丸刃を用いて裁断します。さまざまな直径の刃を取り替えることで幅広く利用できます。裁断部分は手裁ちに近い美しさですが、生地を重ねての裁断や、曲線が多くカーブのきついパーツの裁断には不向きです。
  • 直刃裁断機
    糸のこぎりのように刃が上下まっすぐになっている裁断機です。丸刃と異なり刃を上下に動かして裁断するため、生地を重ねてもある程度同じ形状とサイズに切り分けることができますが、丸刃裁断機よりは裁断部分の美しさに劣ります。また合成繊維を裁断する場合、刃を動かすスピードが速すぎると、繊維がとけて刃や裁断する生地に付着するおそれもあります。
  • バンドナイフ裁断機
    直刃裁断機の発展形といえます。刃はベルトコンベアーのように環状に回転しますが、裁断する部分は上下まっすぐなため、より多くの生地をほぼ同じ形状とサイズに切り分けることができます。但し裁断台と一体化した機械設備のため、裁断する生地を動かして裁断しなければならず、パーツによっては裁断する生地を直刃裁断機などである程度粗裁ちする必要があります。
  • 油圧式裁断機(クリッカー)
    金属製の型を用いて、圧力をかけて生地を打ち抜く裁断機です。金属製の型を「ダイ」と呼ぶことから「ダイカッティング」とも呼ばれています。直刃裁断機などと同様に同じ形状とサイズに切り分けられ、なおかつ裁断部分は丸刃裁断機のように美しく仕上がりますが、パーツごとに型を用意しなければならないデメリットもあります。

近年はこれら以外に、レーザー光線で生地を焼き切るレーザー裁断機や、強力な水圧で生地を裁断するウォータージェット裁断機など、刃物を使用しないで裁断できる機械も開発されていますが、いずれも本格的な実用段階には至っていません。ちなみに、これらは通常アパレルCAMなどのコンピューターシステムと組み合わせて使われます。

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