今回は、前回の染料の補足で、染料以外に染色で使用される薬剤について紹介していきたいと思います。

  1. 染色助剤
    それぞれの素材によって使う染料が異なることは前回ご紹介しました通りです。
    しかし、より染色スピードを速めたり、よりきれいに染め上げたりするなど、染色の効率や効果を高めるために特別な薬剤を用いることがあります。このような薬剤を染色助剤と呼びます。
    染色助剤には、主に次のものがあります。
    • 促染助剤
      染色のスピードを早めたり、付着させる染料の量を増やしたりすることで、より濃く鮮やかに染め上げるために使われる薬剤です。
      ポリエステルを分散染料で染色させる際に使われるキャリヤーは、繊維に吸い付くとポリエステル分子の熱運動を高める作用があるため、これにより染色スピードを上げることができます。
      一方、綿などのセルロース系素材の染色に使われる無機電解質、絹・羊毛・ナイロンの染色に使われる酸は、どちらも付着させる染料の量を増やす効果があります。
    • 均染剤
      繊維上で染料を均一に行き渡らせるための薬剤です。染料の浸透スピードを抑えたり、不均一に分布した染料を均一に浸透させたりすることで、染色ムラを防ぐために使われます。繊維と相性の良いイオン系の界面活性剤と、染料と相性の良い非イオン系の界面活性剤があります。
      ちなみに界面活性剤とは、水になじみやすい成分とそうでない成分両方を併せ持ち、水と油のように液面が分離する物質同士を混ざりやすくして液面の境目をなくす物質の総称で、身近なところでは洗剤などに含まれています。
    • 金属封鎖剤
      マグネシウムやカルシウムなどといった金属イオンを多く含む硬水を使用する場合、これらの作用で染め上がりが悪くなってしまうのを防ぐために使われます。金属イオンを取り囲むようにしてキレートと呼ばれる構造をもつ物質を生成することで金属イオンの活動を抑え込む効果があり、キレート剤とも呼ばれます。
  2. 染色堅牢度増進剤
    文字通り染色堅牢度、つまり染料の物理的・化学的耐性を向上させるために用いられる薬剤です。 水に溶けやすい染料に対しては、染料との化学反応で水に溶けにくくすることで水濡れに対する耐性を上げるフィックス剤が使われます。一方、水に溶けにくい染料に対しては、余分な染料を落とすことで摩擦や洗濯に対する耐性を上げる洗浄剤があります。
  3. 蛍光増白剤
    文字通り繊維上で光を反射させることにより白味を強める作用のある薬剤です。
    光線を虹に分解して説明すると、紫外線(紫色に隣り合う目に見えない光線のこと、UVとも呼びます)を吸収して青ないし青紫色の光を反射させることで、黄ばみを目立たなくする効果もあります。

    ちなみに黄ばみは、紫の光が吸収されて紫色の光が少なくなった状態で反射されることで、紫と色合いが反対の黄色に見える現象です。黄ばみ防止の方法として、青ないし紫の染料で白っぽく見せる「青味付け」もあります。

ここまで2回にわたって、液体に浸して染色する浸染で使われる染料や薬剤について紹介してまいりました。
次回は捺染(プリント)で使われる染料や薬剤についてご紹介したいと思います。

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