前回まで衣類をデザインする上での基本的な項目についてご紹介致しましたが、衣類のサイズ(寸法)も、衣類の設計には必要不可欠な要素です。
今回は、衣類のサイズがどのように決められるかについてご紹介致します。

あたり前の話ですが、我々人間の身長や体重などの大きさは、この世に生を受けてからおおよそ成人するまでは、大きさも体型も劇的に変化します。一方成人してからは、妊娠などで一時的に体型が変わることがあるものの、おおよそ一定の大きさに落ち着きます。また大きさも同じ性別や年齢層で個体差があり、体型も痩せ型・肥満体・なで肩・いかり肩などさまざまです。本来ならば各人の体型に合わせて作ることが理想的ですが、現在の資本主義経済においては、手間がかかるなど生産効率が非常に悪くなる短所もあります。
そのため、衣類を作る際には、どの性別のどのライフサイクルをターゲットにするか、そして大きさや体型をどこまで共通化・定型化させるべきかを考慮しなければなりません。そこで重要な鍵となるのが人体計測体型分類です。

まず、寸法を決めるベースとなる人体計測の方法には、次のものがあります。

  1. 直接計測法
    人体に直接接触させて身体の各部位を計測する原始的な方法です。
    あたり前ですが、人体の表面は単純な平面や球面ではなく、突起やくぼみがいくつもあるため、身長や胸囲(チェスト)・胴囲(ウェスト)など、ある部分の長さや周囲を計測し、そのデータに基づいて計算を加えることで、人体のおおよその形状と大きさを求める方法です。
    専用の計測器を用いて各部の長さや周囲を計測する手法で、考案者の名前に由来する「マルチン法(JIS法)」、平面に並べられた同じ長さの多数の細い棒を接触させて、浮かび上がった凹凸部分の距離や深さを計測する「スライディングゲージ法」などがあります。いずれの方法も、計測には専門的な技術と測定される側の静止が必要となるため、大人数の測定や再測定には不向きです。
  2. 間接計測法
    主にカメラなどの光学機械やコンピュータシステムを用いて、人体に触れることなく計測する方法です。計測による表面変化がなく、測定の手間も少ないのが特徴です。
    身体の正面と側面を一定の縮尺で撮影し、その輪郭(シルエット)の各部の長さや形状を測る「シルエット法」、浮かび上がってくるモアレ縞(一定間隔の、平面でスライスしたような縞模様)を撮影して形状や体積などを数量的に把握する「モアレ写真法」、レーザー光線を用いて人体の形状を短時間で測定し、データ分析に適している「レーザー光線法」などがあります。
    近年は情報化やAI技術が飛躍的に進み、撮影画像に基づいて自動的にサイズを測定できる技術も実用化に至っています

衣類のサイズや形態は、こうして計測されたデータに基づいて、大きさや体型を年齢層や性別に応じて適切な種類に定型化され、分類されます。これを体型分類と呼び、次のものがあります。

  1. 身体の大きさによる分類(着用者区分)
    人間の年齢層や性別に応じた分類で、大まかに乳幼児・少年・少女・成人男性・成人女性に区分されます。
  2. 寸法(サイズ)による分類
    同じ年齢層や性別でも大きさには個人差があるため、標準的な体型と大きさをベースに、衣類それぞれの基本的な部位の長さ(周囲)を一定の間隔で区切って分類されます。着用する者の基本となる身体部位の寸法を基本身体寸法と呼び、身丈・着丈・身幅・肩幅・袖丈・股下などがこれにあたります。
    具体的なサイズの設定については、製品等の標準を決める日本規格協会(JIS)にて基準が設けられていますが、衣類の種類や衣類デザインなどとの兼ね合いで同じサイズでもある程度の幅があります。
  3. 体型による分類
    同じ規格サイズでも各人の体型や姿勢は千差万別のため、これらも類型化する必要があります。
    これに対してJIS規格では、同じ身長に対する胸囲または胴囲によって体型分類しています。この体型分類においては、標準的な胸囲(胴囲)をA体型と規定しており、このA体型より痩せている体型をY体型、それより痩せている体型をJ体型と呼びます。一方A体型より肥えている体型をB体型、それより肥えている体型をE体型と呼びます。紳士服などで見られるA・Y・Bなどといった記号や各体型のダミー(ボディ・トルソー)は、この体型分類に基づいているのです。

ところで、規格サイズの記号はS(Small)・M(Middle)・L(Large)などが一般的ですが、婦人服では7号・9号・11号などの号数も見られます。この号数とはバストのサイズを表しており、正式には9ARなど、バストの大きさに加えて、腰周り(ヒップ)を基準とする体型記号と身長を表す記号を記載します。ただフィット性が要求されない衣類の場合は、号数だけを表示することも多々あります。

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