ニットは、大きく「緯編(よこあみ)」と「経編(たてあみ)」に分かれ、多種多様な用途を誇っていることは第1回でも説明した通りですが、編み方の種類、つまり編地もバリエーションに富んでいます。
ここでは、「緯編」と「経編」それぞれの編地について詳しく紹介していきたいと思います。

1.緯編の基本編
緯編の基本的な編地には、「平編」・「ゴム編」・「パール編」の3つがあります。
伸縮性に富み、準備が比較的簡単で、編機によっては成形が可能なものもありますが、途中で糸が切れた場合には糸抜けや伝線(ラン)を起こしやすく、なおかつ目立つのが欠点です。
a)平編は、同じ編み目が横方向に続く編み方で、通常は天竺(編み)」と呼ばれています。この編地が何故インドの別称である天竺と呼ばれるかはっきりしたことはわかっておりませんが、インドが綿花の一大生産地であることから、インドと何らかの関係があるのかも知れません。
b)ゴム編は、表の編み目の次に裏の編み目が並ぶ編み方で、縦に編み目が並びます。こちらはまたの名を「リブ」もしくは「畦編」とも呼ばれています。なお、このゴム編を重ね編みしたのが「スムース編」(両面編)で、表裏同じような編み目が特徴です。
c)パール編は、横に渡す糸ごとに編み目を交互もしくは数本おきに変化させる編み方で、これを用いて凹 凸や柄模様の編み目を作り出すことができます。このパール編は、主に靴下(ソックス)で用いられます。

2.経編の基本編
経編の基本的な編地には、「デンビー」・「コード」・「アトラス」の3つがあります。
経編では、編機の「筬(おさ)」という板が糸のガイドを果たすわけですが、1枚使う場合はシングル○○、2枚使う場合はダブル○○などと表します。
糸切れした場合でもランが起こりにくく目立ちにくいのですが、緯編と較べて伸縮性に乏しく成形も不可能で、編む場合には一定の準備が必要です。
a)デンビー編みは、「トリコット(編み)」の方がわかりやすいかと思われます。この編地は隣同士の糸を絡ませながらつくられる編地で、経編の中では最もシンプルな編み方です。
b)コード編みは、編目が隣の糸を飛び越して二本分先の糸まで移動させる編み方で、縦に伸びる畝状の編目が特徴です。なお、ダブルコード編みの場合は、一方の糸の量を多くしてループを大きく作ることで、タオルでおなじみの「パイル編み」、さらには大きい方のループを毛羽立たせる「起毛パイル」を作り出すこともできます。
c)アトラス編みは、編目が斜めに連続し、途中から反対側に折り返す、ジグザグな編目になっているのが 特徴です。これを応用したものには、ダイヤモンドのような菱形模様の編目ができる「ダイヤモンド編み」などがあります。また、編目を途中で折り返さずに右上がり・右下がり双方の編目を交差させて編むことのできる編機を使ってつくられる「ミラニーズ編み」もあります。
基本的な編地は上記の通りですが、ニットの編地には、これら以外にもバリエーションがたくさんあります。
これらは、上記の基本的な編み方に加えて、タックやウェルトという編み方を加えることで生み出されます。

「タック」とは、糸を何本か編み針にかけた状態にした後、次に来る糸で元の編み目に戻す編み方です。
「ウェルト」は逆に、数本の糸を編み針にかけないで次に来る糸で元の編み目に戻す編み方です。

このようにして編まれた生地の中でも特に有名なのが、仔鹿(こじか)の背中のように細かい斑点状の突起が並んでいるような編み目の「鹿の子編み」です。

この他にも、様々な模様編みが特徴の「ジャカード」や、重ね編みで作り出される「ダブルフェイス」(段ボールニット・リバーシブルニット)なども、これらニット・タック・ウェルトを使いこなして作られています。
このように、ニットの生地には、編み方次第で無数のバリエーションが存在するのです。

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