今回からは、いよいよ縫製工程についてお話ししてまいります。

縫製工程は、文字通り衣類に必要なパーツを縫い合わせていく工程で、衣類の製造においてメインとなる工程であると言っても過言ではありません。この工程を英語で「cut and sewn」と表すことから、縫製された衣類は、しばしば「カットソー」とも呼ばれています。
第42回でもお話ししました通り、衣類を構成するパーツは、糸から作り出された生地をはじめ、不織布・皮革なども裁断して使われます。そして芯貼りや装飾などの例外を除いて、それらをつなぎ合わせるのに糸などを用いて縫い合わせるのが一般的です。仮にそれぞれのパーツを接着剤や粘着テープなどで貼り合わせると、洗濯などではがれてバラバラになってしまい、使いものにならなくなります。一方プラスチックや木材・金属などでつなげ合わせると、重すぎたり硬すぎたり、それ以前に生地が破れてしまうおそれがあり、すぐに着用できなくなってしまいます。

縫製工程もまた、産業革命を境に従来からの手作業から機械作業へと移り変わり、ミシンが登場してからは、製造量も生産能力も飛躍的に向上しました。もっともミシンが登場した当初は、手縫いに携わっていた労働者が、自分達の仕事を奪われるという理由でミシンを打ち壊したこともあったそうです。

そんな縫製工程の主役とも言えるミシンには、大きく分けて家庭用と工業用とがあります。ここでその違いをご紹介致します。

  • 家庭用ミシン
    文字通り家庭向けに開発されたミシンで、例えばほころびや穴あきを直したり、衣類などをリフォームしたりするなどの用途が想定されています。そのため家庭でいかに便利に使えるかが要求され、ほとんどの家庭用ミシンには、1台のミシンにさまざまな機能が備わっているのが特徴です。
  • 工業用ミシン
    産業革命に端を発する資本主義経済の要請により、いかに速く、大量に製品を作るかが要求されます。また、縫う場所に応じて縫い方も異なるため、効率よく生産できるようにするためにも、できるだけミシンの機能をシンプルかつ取り扱いやすくすることも要求されます。そのため工業用ミシンは、家庭用ミシンよりも縫うスピードが速くて頑丈で、縫い工程に応じて多種多様のミシンが開発されており、その種類は実に3,000を超えるとされています。
    日本産業規格(JIS)では、ステッチ(縫い目)のスタイルとシーム(縫いによる継ぎ目)のスタイルにおいて、それぞれJIS L 0120とJIS L 0121として規格が定められており、これらの規格に応じて縫う部位や目的ごとに適切なミシンを選定して縫製に臨みます。また、必要に応じてアタッチメントと呼ばれる付属品を取り付けることで、より特殊な縫い方も可能になります。

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