今回は、綿と双璧をなす植物繊維の代表格である「麻」についてご紹介致します。
麻は、およそ7000年前からミイラを包む布として使われるなど、繊維の中で最も古くから人類と関わりのある素材とされています。
我が国で信仰されている神道においても、古来から神に捧げる布(幣)として大切に扱われています。

ひとくちに麻と言っても、その種類は約50~60もあると言われ、植物学上の分類も多岐にわたっています。そのため、繊維の採れる部位をはじめ、性質や用途もそれぞれ異なります。衣類として使用される代表的なものに、亜麻苧麻(ちょま)があります。

1.亜麻(リネン・フラックス)
麻の中で最もポピュラーな素材で、ロシアをはじめ、ヨーロッパや北アメリカで生産されています。茎にあたる「靱皮(じんぴ)」から採れるため、靱皮繊維に分類されています。
繊維の長さは、30センチから2メートル以上とさまざまで、断面は五角ないし六角形で中は小さな中空で、ところどころに節があるため、繊維同士の摩擦が大きくなっています。
ちなみに、寝具用のシーツやカバー等が置かれている「リネン室」はこれに由来します。
2.苧麻(ラミー)
苧麻とラミーは葉の裏の色が微妙に異なり(苧麻は白、ラミーは淡い緑色)、植物学上では厳密に異なる種類ですが、繊維としての性質はほとんど同じです。
苧麻は中国・日本などの温帯、ラミーは東南アジアなどの熱帯が主な産地です。亜麻と同様に靱皮繊維に分類され、刈り取りと同時に表皮をはがして繊維を採取します。繊維の長さは7~28センチと長く、断面は楕円形で、こちらも亜麻と同じくところどころに節があります。

靱皮繊維には他にも、インドが主要産地の「黄麻」(ジュート)「大麻」(ヘンプ)などがあります。なお大麻はマリファナ等の麻薬の原料にもなることから、ほとんどの国において栽培などが厳しく規制されています。
一方、マニラ麻サイザル麻などは、葉脈から繊維が採れる葉脈繊維に分類されています。
これらは繊維がきわめて硬く糸にしづらいため、衣類としてではなく、主にロープなどの工業資材や壁紙などのインテリア資材に用いられます。今では聞く機会が滅多にない「リノリューム」という建材は、原材料に亜麻から採れる亜麻仁油やジュートが使われることから名付けられました。

麻繊維は、繊維自身に強度があり、吸湿・速乾性に優れ、洗濯や腐食に強い特徴がありますが、綿同様シワになりやすく、染色しにくい欠点もあります。しかし繊維を精練・漂白することで、絹のような光沢が出てシワになりにくく、吸湿・速乾性にも優れた素材にすることもできます。
シャリ感清涼感など麻独特の風合いがあり、麻単独もしくは他の繊維との混紡で、肌着やポロシャツ、サマーセーターなどの春夏向け衣類に幅広く利用されています。

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