今回は、衣類を作るための要とも言える縫製仕様書ついてお話ししていきたいと思います。

第34回でお話ししました通り、衣類を製造するにあたっては、

  1. 着用目的や性別・体型・年齢層といったターゲットを明確にし
  2. それに応じて、素材やサイズなど実用面での性能や、色・柄・形態を決め
  3. そして、材料や形態に応じてどんな作り方をすべきか、あるいはどんな設備・機械を使用すべき

を考慮に入れなければなりません。
その上で、どの色のどのサイズをいつまでに何枚作るかといった具体的な数量や納期などを盛り込み、一定のデザインを一定の品質で生産するために、それら衣類の製造に必要な情報を正確に生産現場に伝達する必要があります。
そのための書類が、縫製仕様書です。

実際の衣類の製造は、アパレルから他の工場に生産を請け負わせるケースがほとんどのため、縫製仕様書はこうした生産現場とのコミュニケーションを図るツールとしても利用されます。そのため、縫製仕様書に記載される指図は、5W1Hを明確にした、詳細かつ具体的なものでなければなりません。
指図には、生産現場の製造技術や設備の有無なども視野に入れた留意点も含まれ、さらに材料やプロダクトパターン、縫製仕様における問題点などもインプットされます。衣類は季節的要因に大きく左右されるため、納期の管理は数量などと並んで特に重視されます。もしこれらの手直しがなされないまま指図をすると、生産現場でのトラブルや不良品が多発する原因となり、その結果生産性の著しい低下と納期遅れなどを引き起こしてクレームにつながってしまいます。

縫製仕様書に記載する項目は、基本的に次のものがあります。

  • 発注元の会社名、発注先の工場名、担当者名、指示年月日
  • 製品の種類
    これには品番、パターンナンバー、衣類の種類(シャツ・パンツなど)などがあります。
  • デザイン画及びその説明
    作る製品の仕様やその詳細をイメージとして描く、縫製仕様書のキモと言える項目で、可能な限り具体的に表現することが重要です。特に注意すべき項目には簡単な説明を付けて注意を促します。
  • 使用する生地及びサンプル、並びに裏地・芯地等も含む素材の種類・品番・使用する色とその番号・生地巾など
    表裏がわかりづらかったり方向性が異なったり、あるいは素材の特性で伸縮したりする場合にはその旨製造上の注意や生地サンプルを添付します。
  • サイズの明細
    製造するサイズの種類はもとより、各サイズにおける身巾・着丈・袖丈・肩巾などの仕上がり寸法などを記載します。ニットの場合は伸縮が伴うため、伸縮分を考慮に入れて許容範囲を記すこともあります。
  • パターン及びパターンリスト
    各サイズのパーツの型紙。カットデータでデジタル化されることもあります。パターンの詳細は第37回をご参照願います。
  • 裁断する際の指示及び要尺
    生地の柄や方向性に関する指示です。パーツごとに方向性が異なっていると、光の反射加減でちぐはぐに映ってしまうのを防ぐため、特に指示のない限り同じ方向に揃える必要があります。
    またベロアなど、逆方向で裁断すると製品の品位がなくなる場合もあるため、裁断方法にも注意を要します。

以下の項目は今後の回に委ねます。

  • 使用する設備や機械の種類
    これにはミシン等の設備の機種をはじめ、縫製に使うミシン針の種類、使用する縫い糸の種類・品番なども含まれます。
  • 仕立て仕様の指示
    例えば、衿・袖付け・縫代・裾等の始末方法や縫代の倒し方、ステッチ巾などがあります。
  • 使用する副資材の種類と数、その付け方と付ける位置
    これには、釦を使用する場合の釦穴の大きさと形状、ファスナー・衿ネーム・品質表示ネーム・提げ札(タグ)などの付け方等があります。
  • 品質表示ネームの表示
    特に使用素材の混率や取り扱い絵表示、注意書きなどは、家庭用品品質表示法で規定されています。
  • 製品の仕上げ方法
    製品の畳み方、アイロンがけ、包装・梱包方法などがあります。
  • (オプション)プレス加工が必要な場合のプレス加工の指示。ハンガー掛けを要する場合のハンガーの指示。
  • 納期、納品場所、納品方法。

ここまでご紹介致しました通り、衣類を生産するためには、企画の段階から生産指示に至るまで、実に多くの準備段階を要します。そして、製品を作るために必要なインプット情報も多岐にわたっています。いかに縫製仕様書が、均一な品質の衣類を作り出すために必要不可欠であるかがわかると思います。

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